2025.06.28 コラム

「曲がったキュウリはどこへ行く?」

スーパーに並ぶ野菜は、どれもまっすぐで、きれいな形。でも畑では、もっと自由なカタチの野菜がたくさん育っています。曲がったキュウリ、小さすぎるニンジン、シミのあるナス……それらはいわゆる「B品」や「規格外野菜」と呼ばれます。

では、そんな野菜たちはどうなっているのでしょう? 廃棄されている? それとも、どこか別の場所へ――?

「B品野菜」とは?

「B品」とは、味や安全性に問題はないけれど、見た目が正規品の規格から外れている野菜のこと。たとえば、

  • 曲がったキュウリ
  • 表面にキズがあるトマト
  • 規定より小さいキャベツ
  • 色ムラがあるピーマンなど

農家では収穫全体の2〜3割が規格外になることも。その多くが、これまで「廃棄」や「家族用」「堆肥化」に回っていました。

B品野菜はどこへ行く? 主な流通ルート

① 加工食品メーカーへ

カット野菜、ジュース、冷凍食品、惣菜などへ加工されるため、形にこだわる必要がありません。
→ 見た目より味や水分量が重要視されます。

② 飲食店・社食・給食など業務用へ

地元の飲食店や学校給食などでは、調理で切って使うので「曲がっていても問題なし」。
→ 地元のB品を「地産地消食材」として取り入れる自治体も増加中。

③ フードシェア・子ども食堂などへ提供

まだ十分に食べられるB品を、支援団体や食堂へ無償・低価格で流通させる「フードロス削減」の取り組み。
→ 地域の貧困支援・食品教育にもつながる。

④ 専門ECサイト・青果マルシェへ

「もったいない野菜」「訳あり野菜」としてオンライン販売。
→ 規格外でも「個性的で愛らしい」と人気。環境意識の高い消費者が支持。

流通の課題と工夫

B品野菜の流通では、以下のような課題がありました。

  • 正規品と混載できないため、仕分けや梱包が手間
  • 市場を経由できず、販売ルートが限られる
  • 売価が安く、配送コストと採算が合いにくい

近年では、以下のような物流改善が進められています。

  • 共同配送によるコスト圧縮
  • 低温小型便の導入(宅配業者と提携)
  • 産直型EC×契約農家のスキーム化
  • JAやフードテック企業との協業(例:OFFICE DE YASAIの加工素材)

B品野菜が持つ“価値”と“未来”

B品は、「売り物にならないもの」ではなく、「売り方を変えれば価値があるもの」。

味も栄養も変わらず、しかもフードロス削減・生産者支援・地産地消につながる。今、B品を活用する取り組みは、単なる“裏流通”から“社会的選択肢”へと進化しています。

最後に

「まっすぐじゃない」野菜が教えてくれること

曲がったキュウリ、小さなナス、シミのある大根。
それらは、自然が育んだ個性であり、農家が一生懸命育てた命です。

“見た目がすべてじゃない”という価値観を、私たちの食卓にも。
今後、「B品野菜」は、選ばれる選択肢のひとつとして、もっと身近な存在になっていくはずです。