スーパーに並ぶ野菜は、どれもまっすぐで、きれいな形。でも畑では、もっと自由なカタチの野菜がたくさん育っています。曲がったキュウリ、小さすぎるニンジン、シミのあるナス……それらはいわゆる「B品」や「規格外野菜」と呼ばれます。
では、そんな野菜たちはどうなっているのでしょう? 廃棄されている? それとも、どこか別の場所へ――?
「B品野菜」とは?
「B品」とは、味や安全性に問題はないけれど、見た目が正規品の規格から外れている野菜のこと。たとえば、
- 曲がったキュウリ
- 表面にキズがあるトマト
- 規定より小さいキャベツ
- 色ムラがあるピーマンなど
農家では収穫全体の2〜3割が規格外になることも。その多くが、これまで「廃棄」や「家族用」「堆肥化」に回っていました。
B品野菜はどこへ行く? 主な流通ルート
① 加工食品メーカーへ
カット野菜、ジュース、冷凍食品、惣菜などへ加工されるため、形にこだわる必要がありません。
→ 見た目より味や水分量が重要視されます。
② 飲食店・社食・給食など業務用へ
地元の飲食店や学校給食などでは、調理で切って使うので「曲がっていても問題なし」。
→ 地元のB品を「地産地消食材」として取り入れる自治体も増加中。
③ フードシェア・子ども食堂などへ提供
まだ十分に食べられるB品を、支援団体や食堂へ無償・低価格で流通させる「フードロス削減」の取り組み。
→ 地域の貧困支援・食品教育にもつながる。
④ 専門ECサイト・青果マルシェへ
「もったいない野菜」「訳あり野菜」としてオンライン販売。
→ 規格外でも「個性的で愛らしい」と人気。環境意識の高い消費者が支持。
流通の課題と工夫
B品野菜の流通では、以下のような課題がありました。
- 正規品と混載できないため、仕分けや梱包が手間
- 市場を経由できず、販売ルートが限られる
- 売価が安く、配送コストと採算が合いにくい
近年では、以下のような物流改善が進められています。
- 共同配送によるコスト圧縮
- 低温小型便の導入(宅配業者と提携)
- 産直型EC×契約農家のスキーム化
- JAやフードテック企業との協業(例:OFFICE DE YASAIの加工素材)
B品野菜が持つ“価値”と“未来”
B品は、「売り物にならないもの」ではなく、「売り方を変えれば価値があるもの」。
味も栄養も変わらず、しかもフードロス削減・生産者支援・地産地消につながる。今、B品を活用する取り組みは、単なる“裏流通”から“社会的選択肢”へと進化しています。
最後に
「まっすぐじゃない」野菜が教えてくれること
曲がったキュウリ、小さなナス、シミのある大根。
それらは、自然が育んだ個性であり、農家が一生懸命育てた命です。
“見た目がすべてじゃない”という価値観を、私たちの食卓にも。
今後、「B品野菜」は、選ばれる選択肢のひとつとして、もっと身近な存在になっていくはずです。