スーパーで当たり前のように並んでいる野菜。その1つ1つが、どこから来て、どんな道のりをたどってきたか、あまり意識することは少ないかもしれません。けれども、私たちの食卓に届くまでに野菜が歩む道は、まるで小さな「旅」のようです。
収穫 ― 畑から始まる第一歩
野菜の旅は、畑での収穫からスタートします。農家の人たちが早朝から収穫し、サイズや傷の有無をチェックして選別。必要に応じて洗浄や袋詰めが行われます。たとえば、北海道で収穫された玉ねぎが東京に届く場合、ここから数百キロの旅が始まるのです。
集出荷場 ― 仲間と合流する場所
農家ごとに収穫された野菜は、集出荷場に集められます。ここで品質検査や箱詰め、ラベル貼りが行われ、同じ品目が大量にまとまります。個人の畑で採れた小さな量の野菜も、ここで一気に「商品」としての形を整えるのです。
卸売市場 ― 野菜が“値段”を得る場所
次に野菜はトラックに積まれ、都市部の卸売市場へ。市場では仲卸業者や小売業者が競りに参加し、その日の供給量や品質によって価格が決まります。天候や収穫量次第で、ここでの値付けは大きく変動。野菜の旅は、自然と経済が交差する瞬間を経験します。
小売店 ― 消費者との出会い
市場を経た野菜は、スーパーや八百屋へと運ばれます。店頭に並ぶ頃には、畑を出てから数日が経過していることも少なくありません。産地から直送されるケースでは、収穫翌日に並ぶこともあり、鮮度が価格や購買行動に直結する場面です。
食卓 ― 旅のゴール
最後に野菜は、私たちの買い物かごに入り、家庭のキッチンへ。煮物やサラダ、炒め物などの料理に姿を変え、ようやく“旅の終着点”を迎えます。そしてその一口が、産地での努力や流通の仕組みの上に成り立っていることを、改めて気づかせてくれます。