2025.09.26 野菜

野菜の名前の由来、知っていますか?

私たちの食卓に並ぶ野菜たち。
毎日のように口にし、目にしているけれど――その名前の由来を意識したことはありますか?

実は野菜の名前には、古くからの暮らし・風土・言葉の変化がぎゅっと詰まっています。
ちょっとした語源を知るだけで、身近な野菜がぐっと面白く見えてくるんです。

🥦 「ほうれん草」 ― ペルシャから日本へ

ほうれん草の原産地は、現在のイラン周辺。
漢字では「菠薐草(ほうれんそう)」と書きますが、この「菠薐(ほうれん)」はペルシャ(波斯)を経由して伝来した地域名をもとにしています。

つまり、名前には“遠い旅の記憶”が刻まれているのです。
江戸時代に日本で本格的に栽培が始まり、今では冬の定番野菜に。
異国の名前が、いつの間にか日常の言葉になっています。

🥬 「小松菜」 ― 江戸の地名がルーツ

「小松菜」は、江戸の小松川(現在の東京都江戸川区)で栽培されたことが由来。
元々は地域限定の青菜でしたが、江戸時代中期に将軍が献上を受けたことをきっかけに全国に広がりました。

いわば“小松川ブランド”が、そのまま名前になった野菜。
地名由来の野菜は、地域との深い結びつきを今に伝える存在です。

🧅 「ねぎ」 ― “根木”から“ねぎ”へ

ねぎの名前の由来は諸説ありますが、有力なのが「根の木」から転じたとする説。
根元がしっかりとした姿が“根木”と呼ばれ、それがなまって「ねぎ」になったといわれています。

また、古くは薬草としても利用されていたため、「葱(ねぎ)」という漢字は古文書にもたびたび登場します。
長い歴史を背負った、まさに“日本語とともに歩んできた野菜”です。

🥔 「じゃがいも」 ― “ジャカルタ芋”が縮まった!

じゃがいもは、オランダ船によってインドネシアのジャカルタ(当時はジャガタラ)から日本に伝わったため、
「ジャガタライモ(ジャカルタ芋)」 → 「じゃがいも」と呼ばれるようになりました。

南蛮貿易の時代に海を渡ってきた外来野菜。
いまでは家庭料理の定番になっているのが不思議なくらいです。

🥕 「にんじん」 ― “胡”から来た「胡蘿蔔」

にんじんの漢字は「人参」ですが、元々は「胡蘿蔔(こらふ)」と呼ばれていました。
“胡”とは、中国の西方(シルクロード方面)を意味する言葉。
つまり、にんじんもまた“異国から来た野菜”なのです。

「人参」という字は本来、漢方でいう高麗人参を指していましたが、江戸時代に野菜のにんじんにも使われるようになりました。
言葉の“転用”が定着した、ちょっと不思議な名前です。

🌿 名前の由来を知ると、野菜がもっと面白くなる

野菜の名前には、

  • 🌍 海を渡ってきた歴史
  • 🏘 地域に根づいた物語
  • 🈁 言葉の変化と暮らしの知恵

が、ぎゅっと詰まっています。

スーパーや直売所で野菜を手に取るとき、
その名前の由来をちょっと思い浮かべてみると――
いつもの食材が、ほんの少し特別な存在に見えるかもしれません。