冬になると、スーパーの売り場にどっしりと並び始める白菜・大根・キャベツ。
鍋にも煮物にも大活躍の人気者ですが、物流現場の人たちにとっては、これがなかなかの「重量級シーズン」です。
見た目はほっこり、でも実は、冬野菜=重い・かさばる・数を稼ぎにくいという、運ぶ側にはちょっと大変な特徴を持っています。
白菜・大根・キャベツは「かさばる&重い」の二重苦
冬の主役級野菜は、とにかく一つひとつが大きい。
- 白菜:1玉で1〜2kg前後
- 大根:1本で1kgを超えることも
- キャベツ:玉によってはかなりずっしり
段ボールに詰めると、あっという間に箱が重くなり、1人で持ち上げるのも一苦労な重さになります。
トマトやきゅうりのような「軽いけど数が多い」野菜と違い、“少ない個数なのにトータルは重いのが冬野菜の厄介なところ。
トラックに積める「容積」より先に、「重量」の方が限界に達してしまうこともあります。
積み方にも気を使う、冬ならではのパズル
重い野菜が増えると、積み方の難易度も上がります。
- 下の段:白菜や大根などの重量級
- 上の段:葉物やきのこなど、つぶれやすい軽い野菜
といった基本ルールを守りながら、箱の強度を見て「ここまで積んでも大丈夫か」を判断していきます。
特に白菜やキャベツは箱の中で少し余白ができると揺れやすく、輸送中の振動で葉先が傷んだり、外葉が削れたりします。
「重いものを下に」「つぶれやすいものを上に」という当たり前のルールを守りつつ、走行中の揺れにも耐えられるように、隙間を埋めながら積むパズル作業が続きます。
冬道×重量級野菜=ドライバーの負担も増える
冬は野菜だけでなく、道路状況も過酷になります。
- 雪道・凍結路での走行
- チェーン装着やスタッドレスタイヤの管理
- 渋滞・通行止めによる時間の読みづらさ
そこに、重量級の白菜・大根・キャベツをたっぷり積んだトラック。
ブレーキの効き方やカーブでの遠心力も変わるため、ドライバーにはより慎重な運転が求められます。
さらに、納品先での荷下ろし作業もふだんよりハード。
重い箱を台車に乗せ、段差やスロープを越えながら運ぶのは、身体への負担も大きくなります。
「重いからこそ」工夫されること
そんな冬の物流現場では負担を少しでも減らすための工夫がいろいろ行われています。
- パレット単位での運用を増やす
手で運ぶ距離を短くし、フォークリフトやハンドリフトを活用する。 - 箱そのものの設計を見直す
強度を保ちつつ、持ち手をつける、サイズを見直すなどして扱いやすくする。 - 出荷タイミングを平準化する
特定の日・時間帯に作業が集中しすぎないよう、出荷スケジュールを調整する。
それでも、最終的に“人の手”が必要な場面は残ります。
冬場に物流倉庫や市場に行くと重い箱を黙々と運ぶ人たちの姿がいつも以上に目立ちます。
私たちにできる小さな配慮
消費者としてできることは大きくはありませんが、ほんの少しだけ「運ぶ側への思いやり」を持つことはできます。
- まとめ買いをするときは、カゴやカートを使ってレジまでスムーズに流す
- ネット注文の場合、再配達にならないよう日時指定や置き配を活用する
- 地場産野菜や近隣産地のものを選ぶことで、「長距離輸送に頼りすぎない」買い方をする
そんな小さな行動も積み上がればどこかで物流の負担軽減につながっていきます。
おわりに:どっしり重い冬野菜の、見えない「運ばれ方」
鍋や煮物に欠かせない白菜・大根・キャベツ。
食卓に並ぶそのどっしり感は、物流現場ではそのまま「重さ」という負担としてのしかかっています。
それでも、冬の売り場にたっぷりと冬野菜が並んでいるのは、寒い中でも早朝から箱を積み、運び、並べてくれている人たちのおかげ。
次に、どっしり重い白菜や大根をカゴに入れるとき「これを運んでくれた人たちは、もっと大変だったんだろうな」と少しだけ思い出してみてください。
冬野菜のおいしさにちょっとだけ“現場への感謝”という味が足されるかもしれません。