春から初夏にかけて、八百屋やスーパーに並び始める「そら豆」。
鞘を割れば顔を出す大粒の豆は、塩茹でにしても、スープにしても、季節のごちそうです。
けれど、そんなそら豆が“もったいない”存在になっていることを、ご存じでしょうか?
そら豆は「足が早い」——ゆえに捨てられる?
そら豆は、鮮度の落ちが非常に早い野菜です。
収穫後すぐに糖分が失われ、時間が経つほどに風味が低下していくため、「買ったはいいけど使わずに傷んでしまった」という声も多く聞かれます。
加えて、鞘に包まれた状態ではかさばるため、流通や保管の効率も悪く、売れ残りが発生しやすいのが現状です。
実際、農林水産省の調査によれば、そら豆は家庭における野菜廃棄率でも上位にランクイン。せっかく育てられた命が、口に入ることなくゴミとして処分されているという事実があります。
2025年、世界の食糧危機は“加速中”
一方で、世界に目を向けると2025年現在、深刻な食糧危機が進行しています。
国連のWFP(世界食糧計画)は、紛争、気候変動、インフレなどが複雑に絡み、世界で2億人以上が深刻な飢餓に直面していると報告しています。
日本のような先進国でも、子ども食堂やフードバンクに頼る家庭が増加。
つまり、「食が足りない人」と「食を捨てる人」が同じ地球上に共存しているという矛盾が、今まさに浮き彫りになっているのです。
私たちにできる、“食べきる”という選択
そら豆は、春限定の短い旬を楽しむ野菜。
だからこそ、「美味しいうちに食べる」「無駄にしない」といった小さな心がけが、世界の課題ともつながってきます。
そら豆でできる小さなアクション:
- 買ったらすぐに調理:保存に弱いので、購入後はその日のうちに調理を。
- 冷凍保存を活用:茹でたそら豆は冷凍OK。無駄なく使い切る工夫を。
- 捨てずに使うレシピ:皮ごと揚げる、スープにするなど、丸ごと活用。
家庭でそら豆を無駄なく活かすこと。それは「食べものを大切にする文化」を守る一歩でもあります。
“そら豆の命”から始める、世界への視点
「フードロス」という言葉が定着してきた今、私たちは単に“もったいない”で終わらせず、背景にあるグローバルな課題にも目を向ける必要があります。
春のそら豆を、最後まで美味しく食べるというシンプルな行動が、
実は「食べる権利」「分かち合う価値」を支える一歩になるのです。