「感情労働」という言葉を聞いたことはありますか?
接客業や医療・福祉職など、人と深く関わる仕事の中で、相手に合わせて感情を調整することが求められる労働のかたち——それが「感情労働」と呼ばれるものです。
笑顔で接する、冷静に対応する、相手の不安や怒りに飲み込まれずに寄り添う。そうした“見えない労働”は、グループホームで働く支援員にとっても、日常そのものと言えるかもしれません。
「笑顔でいること」が仕事のひとつになる現場
グループホームで生活する利用者さんたちは、それぞれに異なる背景や特性を持っています。
時には、些細なことで感情が揺れ動き、不安や怒りを職員にぶつけてしまうことも。そんなとき、支援員は「落ち着いて対応しよう」「相手の気持ちを受け止めよう」と、自分の感情に一度“ブレーキ”をかけて向き合います。
頭ではわかっていても、それが毎日続くと、自分の心の余裕が少しずつ削られていく感覚になることもあります。
「ありがとう」の一言が心の支えに
それでも続けられるのは、やっぱり“人”が相手だから。
できなかったことができるようになったり、少しずつ表情がやわらいでいく変化を見られたとき、支援員の心には確かな手応えが残ります。
「ありがとう」
「今日のごはん、おいしかったよ」
そんな一言が、どんなマニュアルよりも大きな報酬になる——
それが、この仕事のやりがいでもあります。
感情労働とどう向き合うか
感情労働は、決して「我慢すること」ではありません。
むしろ大切なのは、感じたことにフタをせず、職場の中で共有し合える関係性や仕組みがあること。
私たちエンパワメントグループでは、チームで支える体制づくりを大切にしています。誰か一人で抱え込むのではなく、支援も、感情も「分かち合う」こと。これは利用者さんに対してだけでなく、職員同士にも言えることです。
おわりに
「感情労働」は、ネガティブな側面だけを語られることが多いかもしれません。
でもその奥には、“人に寄り添う”という、誰かの暮らしにとって欠かせない力が宿っています。
支援する側の心のケアも大切にしながら、誰かの「日常」を支える。
それが、グループホーム職員の仕事です。