いま、福祉の現場で見過ごせない課題のひとつに「8050問題」があります。
これは、80代の親が50代の子どもを支え続けている家庭が直面する社会問題です。
中でも、引きこもりや障がい、就労困難といった背景を抱える“子ども”世代が、長年にわたって家族に依存して生活しているケースは少なくありません。
親が健在なうちはなんとか生活が成り立っていても——
「親が亡くなったあと、誰がこの人を支えるのか?」
という問いが、突然に、そして確実に訪れるのです。
「親亡き後」のリアルな不安
8050問題の当事者にとって、「親」は単なる家族ではなく、生活の基盤そのものであることが多くあります。
家事や金銭管理、通院の付き添い、社会との窓口——
そうした役割をすべて担ってきた親がいなくなった瞬間、本人は社会の中で孤立しやすくなります。
行政サービスに繋がれず、制度を知らないまま生活困窮に陥るケースも。
「“あのとき”もっと早く繋がっていれば」
——そんな後悔が残る状況も少なくありません。
グループホームが果たせる役割
グループホームは、そうした“親亡き後”の「新しい居場所」として機能する可能性を持っています。
家族に代わって、日々の暮らしを一緒につくっていく——それは「支援」というより「ともに暮らす」という感覚に近いかもしれません。
- 生活リズムの安定
- 社会との接点づくり
- 困ったときに頼れる存在がいる安心感
- 徐々に“できること”を広げていく日常
それは、単に“住む場所”を提供するだけではない、「暮らしの伴走者」としての役割です。
“本人らしい生活”を選べるように
エンパワメントグループでは、「ただ住む」「ただ支援する」だけでなく、利用者さん一人ひとりの「これからどう生きたいか」に向き合い続けています。
8050問題の“50代”も、これからの人生をあきらめる必要はありません。
本人が「どんな生活を望んでいるか」「何に困っているのか」を丁寧に拾い上げ、グループホームを通じて“自分らしい暮らし”を再構築していく。
そのプロセスこそが、私たちの支援の原点です。
おわりに:孤立からつながりへ
8050問題は、個人の問題ではなく、社会全体の課題です。
親が高齢になる前から、安心して頼れる仕組みとつながっておくことが、本人にとっても家族にとっても大きな安心につながります。
「親がいなくなっても、自分の居場所がある」
そう思える社会の実現に向けて、私たちは今日も、一人ひとりと丁寧に向き合い続けています。