グループホームが地域に根ざす存在であるためには、ただ“支援する側”と“される側”の関係だけでは不十分です。
そこに「地域社会」が加わってはじめて、暮らしは立体的に、そして自然に広がっていきます。
私たちエンパワメントグループでは、「支援者」「利用者」「地域」それぞれが関係し合い、メリットを感じられる“三方よし”の関係性を大切にしています。
ここでは、そんな関係性が実際に形になった事例をご紹介します。
事例1:地域のパン屋さんとの「食のつながり」
あるグループホームでは、近所のパン屋さんと連携し、週に1回、利用者がパンの仕入れに出かける取り組みを始めました。
パン屋さんにとっては、売上の一部が安定的に確保されるだけでなく、地域福祉への貢献としての誇りも生まれました。
利用者にとっては、“社会との接点”と“ちょっとしたお出かけ”の機会になり、自分の役割を感じられるように。
支援者にとっても、外出支援の中で「生活力」や「コミュニケーション力」を伸ばす機会となりました。
事例2:地域住民との「花壇プロジェクト」
ホームの前にある花壇。これまでは雑草が生い茂っていた場所に、地域の方々と一緒に季節の花を植える活動を始めました。
最初は「誰がやってるの?」と遠巻きに見ていたご近所さんも、ある日を境に「今度チューリップの球根、持ってくるね」と話しかけてくれるように。
地域との接点が“行事”や“制度”ではなく、暮らしの中の自然な交流に変わった瞬間でした。
事例3:福祉×商店街のコラボイベント
地域の商店街と協力して、ホームの利用者が手作りした小物や焼き菓子を販売する「ふれあいマルシェ」を開催。
商店街側には新しい客層が流れ、地域の方々にとっても「グループホームって、思ってたより“普通”だね」という気づきが生まれました。
利用者にとっては、自分が“誰かの役に立てる”ことを実感できた日。
支援者にとっても、普段とは違う利用者の表情を見られる貴重な機会でした。
“福祉”が地域に開いていくとき
福祉の現場では、「支援の質」がよく議論されます。
でも、本当に大切なのは、「支援の範囲」がどこまで開かれているか——
つまり、地域との関係性の中で“つながりながら暮らせるかどうか”ではないでしょうか。
「やってあげる」支援から、「ともに関わる」支援へ。
三者それぞれが無理なく関わりあい、“うれしい”が循環する関係性を、私たちはこれからも丁寧に育てていきます。