2025.08.14 コラム

猛暑でも育つ?夏野菜の栽培で注目される品種改良

年々厳しさを増す日本の夏。猛暑や干ばつ、台風といった気候変動は、夏野菜の生育にも大きな影響を及ぼしています。そんな中、農業現場を支えているのが「品種改良」。最新の研究や農家の工夫によって、過酷な環境でも育つ夏野菜が続々と登場しています。

高温に負けないトマト

トマトは30℃を超えると花粉が不稔になりやすく、実がつきにくいとされます。そこで注目されているのが、高温下でも着果しやすい「耐暑性トマト」。国内外の種苗会社が開発を進め、近年は35℃前後でも結実率が安定する品種が普及し始めています。これにより、真夏でも収量を確保できる可能性が広がっています。

病害虫に強いナスとキュウリ

猛暑は害虫の発生を増やし、病害リスクを高めます。

  • ナスでは、青枯病や半身萎ちょう病に耐性を持つ品種が続々登場。病気による株枯れを防ぎ、安定した収穫を可能にしています。
  • キュウリでは、うどんこ病やべと病に強い品種が普及。薬剤散布の回数を減らせるため、環境にもやさしく、家庭菜園でも人気を集めています。

水ストレスに対応するトウモロコシ・オクラ

水不足は夏野菜の大敵。そこで活躍するのが乾燥に強い作物です。

  • トウモロコシは、根張りが深く乾燥に耐える系統が開発され、少ない灌水でもしっかり実が入るようになっています。
  • オクラはもともと乾燥地原産ですが、さらに莢が柔らかく収穫期間が長い品種が登場。高温・乾燥下でも安定的に収穫できる点が評価されています。

消費者とつながる「新品種ストーリー」

こうした品種改良は、農家の生産安定だけでなく、消費者の食卓にも影響を与えています。

  • 「真夏でも実がなるトマト」や「病気に強いキュウリ」といったラベルは、安心・安全の象徴として購買意欲を高めます。
  • さらに、SDGsの観点からも「環境負荷を減らす栽培ができる野菜」として評価が高まっています。

まとめ

猛暑が常態化するこれからの時代、品種改良は夏野菜の未来を守る重要なカギです。農業の現場と研究者の挑戦は、私たちの食卓を支え続けています。
スーパーに並ぶ野菜の中には、過酷な夏を乗り越える工夫が隠れているかもしれません。次に夏野菜を手に取るとき、その背景にある「進化の物語」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。